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【レポート】美濃和紙手漉き&活版印刷でオリジナル名刺づくりツアー

10月4日に「美濃和紙手漉き&活版印刷でオリジナル名刺づくりツアー」を催行しました。
当日は台風直撃か? という天気予報でしたが、奇跡的に雨どころか太陽が顔を出すという、空にも歓迎された中で岐阜の伝統文化を肌で感じてきました!

そして、このレポートを書いている時点でさらにさらにの嬉しいニュース。
本美濃紙がユネスコの無形文化遺産に登録されたのです!

もともと個人的に活版印刷に興味があり、そんなとき岐阜県にある「ORGAN活版印刷室」を当サイトで紹介したことで知り、さらには近くに伝統的工芸品の「美濃和紙」もあるということで、欲張り体験ツアーができる!と思ったことがきっかけではじまったこの企画。
「岐阜の伝統文化を肌で感じてモノづくりに没頭する一日」が、結果的に「無形文化遺産にも触れる一日」というおまけまで付いてくることになりました(笑)。

今回のツアーを催行して再認識したことは『まちの魅力はそのまちに暮らしている人たちの「地元愛」の強さに比例する』ということ。
あたりまえと言えばあたりまえなのですが、今回手漉き体験をした「美濃和紙の里会館」の職員さんの熱量も、ORGANの直野さんの熱量も、翌日ぶらっと訪れた歴史資料館の職員さんの熱量も…、みんな一様にハンパない!
接している方も、もっともっと知りたくなって前のめりになってしまうくらい(笑)

みなさんも、気になる伝統文化、気になるまちなどがあったら、とりあえずそのバショに行って感じてみることをオススメします!

今回短い時間でしたが、僕は岐阜に「恋しちゃいました」(笑)

美濃和紙 手漉き体験

 

■和紙手漉き体験@美濃和紙の里会館
体験したのはハガキ6枚分がつくれる「はがきコース」。
体験とはいえ、実際に職人が使う本物の道具を用い、天然の原料を使っての体験ができます。
ハガキの様な厚い紙をつくるときに用いる「溜め漉き」という技法でつくっていくのですが、これ、一発勝負なんです。。。簀桁(すげた)と呼ばれる木枠を、「コウゾ」が主原料の水の中に入れ、水平にそして揺らしながらすくい上げていくのですが、このすくい上げ、揺らし、上げる時間で出来上がりが決まる緊張の作業です。

美濃和紙 手漉き体験

あっという間の作業でしたが、ずっと息を止めていたようなもっとも緊張した瞬間でした。
この「手漉きの技術」が(もちろん原料などほかの基準もありますが)無形文化遺産に登録された理由でもあります。
漉いた後は水を吸い取る機械で水分を減らし、ある程度吸い取ったら、お湯を中で循環させた金属製乾燥機に貼り付けて乾かしました。
文章にするとなんだか仰々しいですが、掃除機のようなモノで水分をあらかた吸い取り、熱い鉄板にペタッと貼って乾かす。という感じです(笑)
昔はもちろんすべて天日干しで乾かしていた行程で、現在も天日干しにこだわる職人さんもいるそうです。
職員さんのアドバイスが丁寧だったこともあり、なんとか上手に作ることができた6枚のハガキ。途中岐阜のあれこれも織り交ぜながらのお話しもあり、あっという間でした。

今回は「漉く」ところからの体験でしたが、次回は原料を処理するところからやってみたいですね!

美濃和紙 手漉き体験

 

■活版印刷でMY名刺づくり@ORGAN活版印刷室
午後は唯一の参加者と合流し、活版の世界へ!
長良川にほど近い古い街並みのなかに溶け込む、築120年の町屋が目的の「ORGAN活版印刷室」。雰囲気のある玄関を入ると、さっそく活字棚と今回ワークショップをしてくれる直野さんがお出迎え。この時点から終わりまで、ず〜っとテンション上がりっぱなしでした(笑)

活版印刷

中に入ると壁一面に収められた活字。棚はスライドできるようになっていて、奥にも、そのまた奥にも活字の棚、たな、タナ…。そして活字、かつじ、カツジ…。建物の雰囲気もあってか、こぢんまりとした私設図書館にいるような落ち着ける空間のORGAN活版印刷室。

この膨大な活字の中から一文字一文字拾い集めて文字を組む。言葉にすればそれだけのことですが、これが面白い!とくに楽しかったのが「文字を組む」という行程。(仕事柄もあるのかもしれないですが…)
ここにアキ(空間)が欲しいな…とか、このかたまりもっと左にずらしたい…とか、MACだったら数秒でできる作業に手こずる…。
しかも反転した状態で組んでいく(版画を思い出してもらうとわかりやすいです)ので、さらなる苦悩…。

活版印刷

黙々と、それでいてみんな笑顔で、名刺づくりに没頭すること5時間以上…。
いまでは貴重になってしまった活版印刷という方法を肌で感じながら、最初の1枚を刷った瞬間は2人とも歓声をあげていました(笑)
なんというか、星のかけらを集めて自分だけの宝物を創り出したような、そんな気分でした。

活版印刷

活版印刷

今回つくったのは名刺だからせいぜい50文字くらい。それでも活字を探して版を組んで印刷して、という作業に半日かかったのに、100年くらい前まではこの技術で新聞などの印刷物をつくっていたことを考えたら目眩すら覚えました。
想像力をフル回転させて集中した頭はヘトヘトで、でも心地よく、その後のお菓子タイムがすごく「頭に」しみました(笑)

活版印刷

 

 ■気になったらそのバショへ行って触れてみる!
和紙の手漉きも活版印刷も、想像力をフル回転させて完成の絵を頭に描きながら自分の手でカタチにしていく。もちろん思ったものとは違うモノが出来上がることも少なくないかもしれないけど、すべてが揃ったように同じモノが出来上がるより、人間臭さがあって好きです。

その地域にある資源を使って試行錯誤を繰り返して何かをつくり出していく。むかしむかしは普通に行われていたことなのかもしれないけれど、それが代々継承されていくことで洗練され、いつしか「伝統的工芸品」と呼ばれるようにまでになる。そしてそれをうまく活用した文化が生まれて、まちも栄えて…。

いまはネットや雑誌などで、いろいろな土地の伝統文化や街並みを知ることが出来ます。それはそれで様々な発見があって楽しめるのですが、気になった伝統文化やまちがあったらとりあえず行ってみる。そして触れてみる。そこで「地元の人たちの想い」にも触れると、不思議とそこの「地元びいき」になっている…。

また同じツアーを開催するかもしれませんし、違う地域・文化の体験ツアーが出来るかもしれません。
今後も、いろいろな地域の伝統・文化や地元の人の想いに触れられる機会をつくっていけたらと想います。楽しみにしていてください!

最後に、、、

一緒に名刺づくりした参加者の方から感想もいただきました!
ありがとうございます!!


「ぼんやりとした薄暗さの中から、光のカケラを見つけ集め出した」なんて言葉がピッタリだった1日。
探し、選び、整え、形にする。淡々と流れる日頃消費生活とは真逆の時間がとても心地よく、身体の中をリセットするような時間を過ごせました。
数日後に自宅へ届いた名刺たちは、一枚一枚表情があり、何度も指で触ってしまうほど美しい。。。
「この名刺に恥じないような生き方をせねば!」と毎度自分のセナカを押してくれる大切なアイテムとなりました。
素敵な機会をありがとうございます!(荒川萌さん 地元♡千葉県)

活版印刷


 

 ■おまけ
岐阜に来たからには、ぜひ「モーニング」を食べて!との美濃和紙の里会館の方のリクエストに素直に応えて、翌朝は普通の喫茶店で「モーニング」を食べることになりました(笑)その後、気になっていたまちを散策してORGANの直野さんに聞いていた「岐阜大仏」も観に行ってきました。大仏の下に置いてあるベンチに座ってぼーっと…いつまでもこうしていられるな〜と。なんか一般的な大仏とくらべると、優しい表情の癒やし系の大仏さんです(笑)

そしてこの大仏さんにも岐阜の伝統工芸が!

一般的な鋳造の銅でつくられた大仏とは異なり、骨格は木造、そこに竹材を編み、その上に粘土を塗り、経典の書かれた美濃和紙を貼り、漆を塗って最後に金箔という構造。
そうです、和紙と竹といえば岐阜の伝統工芸「岐阜提灯」に「岐阜和傘」「岐阜うちわ」ですよね。
それらの技術をもってこの大仏もつくられていたんですね。

おまけとして癒やし系の大仏さんの写真も載せておきます(笑)

(文・写真 津久井卓也 一部の写真 荒川萌)

【HP】ORGAN活版印刷室
【HP】美濃和紙の里会館

岐阜大仏


2014/12/11 更新

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