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【SCOT】世界の演劇の聖地がある600人の村

新幹線開業で注目を浴びる北陸、富山県。
立山連峰に日本海、冬の季節は一面雪に覆われるこの地域は、大自然のパノラマと新鮮で美味しい食材に溢れています。そんな富山には人口600人、面積170平方キロメートルの村があります。

富山県南砺市利賀村

渋谷のスクランブル交差点の一回の交通量が、多い時で3000人
山手線の内側の面積が63平方キロメートル
比較してみるだけで、リアルに利賀村が伝わってくるでしょうか?

そんな小さな村に私が惹かれ、通い続ける理由があります。

世界の演劇の聖地、利賀村への歩み
実はこの村は、芸術による地域おこしの先駆的な事例として、地域活性のモデルケースとも言われているのです。

現在では五箇山の合掌造りが有名ですが、昔は利賀も合掌造りの地域でありました。
そんな中1976年、鈴木忠志という有名な演出家が、利賀の合掌文化村(芸術公園)とその自然に魅了され、SCOTの舞台の場として選んだことが始まりです。SCOTとは“Suzuki Company Of Toga”の略、これまでに31カ国で公演を行う、日本を代表する現代劇団なのです。

SCOT Suzuki Company Of Toga 利賀村

photo@鈴木忠志 SCOT

そしてこのをきっかけに、村ではいろんなイベントを企画しました。
例えば、地域の伝統芸能を見直そうと富山の伝統芸能を集めた“ふるさと芸能祭”を行ったり。
そして現在、利賀村の一番の名産品として知られる“そば”も、SCOTの観客向けにもてなしていた“そば”や“山菜”がきっかけとなっているのです。

利賀そばによる地域おこしの始まり
SCOTの観客にもてなすようになってから、利賀村では“そば”による地域おこしに力を入れ始めます。1986年には村の各集落で行っていたそば会という行事を結集させ、“そば祭り”を行いました。
さらに1992年には、「世界そば博覧会 in 利賀」を開催。なんと14万人もの観光客が訪れたそうです。
また“そば”の原産地を求め、ネパールに赴いて友好関係を結び、曼荼羅絵師によって描かれた曼荼羅を展示する観光施設も建設しました。

今なおイベント開催を進める利賀村
現在も毎年2月にそば祭りが行われています。
なんと600人の限界集落に15,000人を超えるお客がやってきます。
自分の身長をはるかに超える雪が積もる村で、あったかい“そば”を食べ、ライトアップされた巨大な雪像と巨大花火を見ると、なんだか“ほっこり”します。

また昨年は新たなイベントとしてTOGA天空トレイルランを開催し、なおもエネルギッシュな村。

そんなSCOTの演劇から始まった
お客さんを向かい入れる地域の“おもてなしの心”と
大イベントに挑戦しこなしていく“地域住民一人ひとりの力”と“地域全体の結束力”が
この限界集落に惹きつけられる理由なのかもしれません。利賀村そば祭り

“村通い”をする都会の若者
そんな感じで気づいたら15回も村に通っています。
村に行くと、「おーい、草刈りやってくれぇ」とか「祭りの手伝い頼むわぁ」とか。

日中はみんなで働いて、自然に感謝して美味しいご飯を食べ。夜はわいわいとビールと日本酒を飲む。
昔は当たり前にあったけど、今では忘れかけられている“日本のよさ”がある。

「今度は春の獅子舞があるから、また来られ」
“本当の生きる力”を探しに、また“安心できる居場所”として。
私はまた村に通い続けるのだと思います。

(写真・文 長村 和樹)

利賀村【HP】鈴木忠志・SCOT Suzuki Tadashi・Suzuki Company of Toga


2017/2/17 更新

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