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《シリーズ #0:「地域おこし協力隊」という名の生業》地方から社会を変える切り札「地域おこし協力隊」ってご存知ですか?

中山間、離島、半島等の過疎地や市街地などに移住し、地域に役立つ仕事をしながら生活している人たちがいます。「地域おこし協力隊」と呼ばれる彼らの中には、サラリーマンもいれば、地域活動に興味を持つ若者や、家族とともに新たなライフスタイルを求め移住してきた人たちもいます。
彼らは地域資源を掘り起こし、それを宝に変えて新しい事業を生み出したり、自ら本格的な農業・林業に従事したりして地域を活性化させることで、そこに移住してきたいという仲間が増えるよう、その道を切り開いています。

この「地域おこし協力隊」という制度は、地方自治体が都市部の人材を過疎地域・離島などの新たな担い手として受け入れ、地域力の充実・強化を図るという取り組みで、総務省の支援のもと平成21年度から始まった制度です。
発足当時に比べるとメディアに取り上げられる頻度も増え、認知度は上がってきてはいるものの、地元住民を含め、彼らがどういった取組や活動をしているのか、まだまだ知らない人が多いというのが現実です。

そこで地元びいきでは、「地域おこし協力隊」の活動にフォーカスをあて、その地を選んだ理由や、移住先でどんな未来を描いているのかなど、彼らの地域での暮らしを紹介する一方で、すでにシリーズ記事がスタートしている「移住して地方で働くという選択」と合わせ、今後、地域移住を考えている方や、地域づくりに携る仕事をしたい方、地域で生業をつくりたい方などへの情報の橋渡しができればと考えています。

まず一回目の今回は「地域おこし協力隊」という制度のことを紹介します。
移住してまでその地域で働くことを選択した「地域おこし協力隊」という存在を、地元住民や地元から離れて暮らす人たちに、少しでも知ってもらうきっかけになればと想います。

地方への移住を促進する制度「地域おこし協力隊」

総務省のホームページを見ると「地域おこし協力隊」について、
「地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とする取組です。具体的には、地方自治体が都市住民を受入れ、地域おこし協力隊員として委嘱し、一定期間以上、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などの各種の地域協力活動に従事していただきながら、当該地域への定住・定着を図っていくものです。」
と記されています。
また、最大3年間を期限として報酬を払い(総務省が支援する税金)、家賃などの補助を行っています。

では、現在どのくらいの隊員数がいて、任期終了後の動向はどうなっているのでしょうか?
制度が始まってからこの5年間で隊員数、実施自治体数とも約10倍以上に増え、昨年度は978人もの隊員が全国で地域おこしをしています(下図参照)。

地域おこし協力隊

※総務省ホームページより転載

また、平成25年6月末までに任期終了した隊員約1,000名を対象に行ったアンケートが総務省のホームページで開示されており、任期終了後の隊員の動向を見てみると、定住率は活動地の近隣市町村も含めると昨年度で6割弱、定住したひとの9割が起業・就業・就農をしているという数字が出ています。

地域おこし協力隊

地域おこし協力隊

※総務省ホームページより転載

ただ、あくまでも上記のアンケートは、これまでに任期終了した約半数が対象の数値なので、参考程度に留めたいと思います。

冒頭でも書きましたが、「地域おこし協力隊」の存在や活動状況が、その地域の人たちや一般の人たちに知られていないという現実があります。また、協力隊に興味がある、なりたい、移住先の働き口のひとつとして考えている人たちにとっては、自治体や在任協力隊の活動内容などが異なることもあり、欲しい情報をなかなか拾いきれていないのが現状です。
実際、自治体が発信している募集状況を載せているホームページなどを見ても、具体的な活動内容やその地域情報など少なく、初めて地域移住を考える人にとっては、少しばかりハードルが高いのではないでしょうか。
この辺りの情報マッチング(器)を、東京拠点である「地元びいき」が担えないものかと思案中でもあります。

では、どのような活動内容があって、募集対象や応募方法はどうなっているのか見てみましょう?
総務省のホームページに記載されている活動内容は、以下の通りです。

地域おこし協力隊

それでは、具体的な活動事例を見てみましょう。
実際、地域が抱えている課題はさまざまなので、活動内容もさまざまです。
下記に成功事例としても有名な地域おこし協力隊を取り上げてみました。もちろん成功ばかりではなく、活動のなかには厳しい結果もあるということも頭に入れておく必要があります。

大学と地域の信頼関係から生まれた女子大卒業生5人の移住(茨城県常陸太田市

地域おこし協力隊 常陸太田市20代の同じ女子大を卒業した5人が移住して、ヨソモノ、ワカモノ、女性目線で、これまで気づかなかった資源(宝)の掘り起こしや、多様な知恵を持つ地元の女性(お母さんたちなど)を表面に引っぱり出し、地域の魅力を外に発信している茨城県常陸太田市の協力隊。

“全国最強”と呼ばれている地域おこし協力隊(岡山県美作市

地域おこし協力隊 岡山県 美作市以前は美しい棚田が8,300枚も広がっていた棚田再生活動で、移動用にセグウェイを導入したりと、“突き抜けた”活動を行い、「地域おこし協力隊」といえばここ! というくらいの高い知名度を持つ「岡山県美作市地域おこし協力隊」。

住民主体の団体との連携で限界集落からの脱却(新潟県十日町市

地域おこし協力隊 十日町市限界集落から脱却し、今では「奇跡の集落」とまで呼ばれ、全国各地から視察や取材が訪れるようになった新潟県十日町市の池谷・入山集落。家族3人で移住し「地域おこし協力隊」に。現在は任期を終え、そのまま定住しNPO法人として地域おこしに取り組んでいる例も。

募集対象や応募方法など

■募集対象
3大都市圏をはじめとする都市地域(条件不利地域を除く)に在住の方で、過疎、山村、離島、半島等の地域に住民票を移動し移住できる人。その他の条件は、募集している自治体及び活動内容により異なります。
※「3大都市圏」とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県及び奈良県の区域の全部とします。
※「条件不利地域」とは、次の①~⑦のいずれかの対象地域・指定地域を有する市町村とし、「都市地域」とは、これに該当しない市町村とします。
①過疎地域自立促進特別措置法(みなし過疎、一部過疎を含む)、②山村振興法、③離島振興法、④半島振興法、⑤奄美群島振興開発特別措置法、⑥小笠原諸島振興開発特別措置法、⑦沖縄振興特別措置法
※ 同一市町村内において移動した者や、協力隊になる前に既に当該地域に定住・定着している者(既に住民票の移動が行われている者等)については、原則として含まない。

■応募方法

地域おこし協力隊

※募集情報については「移住・交流推進機構(JOIN)」ホームページや地方自治体ホームページなどに掲載されています。また、JOINでは合同募集説明会も行っています。

地域・協力隊・自治体、3者の想いがシンクロすることが成功のカギ

地域おこし協力隊

高齢化や過疎などで人口が減少し、担い手不足、地域力の低下といった問題に、最適な役割を担う「地域おこし協力隊」。そこには地方自治体のサポートも重要なポイントとなります。

●地域がどんな問題や悩みを抱えているか、それを自治体が汲み取って、最適な募集をかける。そして協力隊が赴任するまでに地元の人たちと受け入れ体制を整えておく。
●協力隊は自分がやりたいことをしっかり固めて赴任までに備える。
●主役は地域の人たちで、協力隊はあくまでも裏方、その間を熱心にサポートする自治体。

地域・協力隊・自治体、この3者の想いがシンクロされた時に、「地域おこし協力隊」という制度の力が発揮されるのだと思います。
大袈裟な言い方かもしれませんが、協力隊は人生を変えてまでその地域に貢献しようと移住を決意します。その想いを汲んだ自治体のサポートで、全国の過疎地に新しい血が流れ、あちこちでさまざまな芽が息吹き、地方から社会を変えていけるようになったら面白いですね。

次回以降は、全国に点在する「地域おこし協力隊」の方々の活動を紹介していきますのでお楽しみに!

(地元びいき 津久井卓也)

全国各地で「地域おこし協力隊」として日々活動されている皆さんへ
是非とも皆さんの働きや暮らしの声を聞かせてください!お問い合わせまで。

各自治体の方へ
「地域おこし協力隊」という仕事のこと、その地域のことを知りたい人のために、東京で応募説明会を開催してみてはいかがでしょうか?お問い合わせはこちらまで。


2014/5/7 更新

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