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〈兵庫県〉多可町・杉原紙 国の文化財、ユネスコ無形遺産登録目指す 

「和紙 日本の手漉和紙技術」を無形文化遺産に登録するように国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関が勧告したことを受け、7世紀後半に起源を持つ県重要無形文化財、杉原紙の伝統を守る兵庫県多可町が刺激を受けている。国の重要無形文化財ではないため、ハードルは高いが「将来の無形文化遺産登録を目指したい」とする。

登録対象は国重要無形文化財の細川紙(埼玉県)と本美濃紙(岐阜県)、石州半紙(島根県)。文化庁によると、国の重要無形文化財に指定され保持団体に認定されると、ユネスコの無形文化遺産に拡張登録される可能性が出る。

杉原紙は7世紀後半、多可町加美区杉原谷地区で生産が始まったと伝わる。冬の寒い時期、原料となる、コウゾの木の皮を川に長時間さらすため白さが際立つ。墨の字を引き立て、薄く丈夫なため写経の紙として広まった。鎌倉時代には幕府の公用紙になり、室町時代には全国で杉原紙が使用された。

1925(大正14)年に生産が途絶えたが、70(昭和45)年、紙すき経験のある高齢者の助言などを参考に技術が再現された。72年には杉原紙研究所が設立され、83年に県重要無形文化財、93年に県伝統的工芸品に指定された。

現在、紙すき経験10~40年の6人が年間約600キロを生産している。加美区の住民やグループがコウゾを栽培している。

杉原紙杉原紙について、文化庁伝統文化課の近藤都代子主任文化財調査官は「途絶える前の技術の研究に努め、杉原紙が全国的に大事だという認識がさらに広まるように努めてほしい」と話し、技術の評価向上に期待した。

杉原紙研究所職員(43)は「厳寒の川にコウゾをさらす伝統を守っている。他の産地にまねできないものをつくり、国の文化財、ユネスコの無形遺産登録を目指したい」と意気込んだ。(神戸新聞NEXTより)


2014/10/29 更新

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