東京都本土唯一の村「檜原村」。
人口2,500名。65歳以上の人口比率が45%。この数字が50%以上を超えると限界集落となってしまう。実はそんな崖っぷちな檜原村だが、意外にも東京で住みたい街ナンバーワン、などと言われているらしい。新宿から中央線で1時間ちょいの武蔵五日市駅から、バスに揺られどんどん山の奥へ入ること30分。それでもここは東京都。
人里と書いて「へんぼり」と読む、この森の囲まれた村里が目的のバショ。
「へんぼり堂」がまだ名もなき一軒の古民家だった昨年5月。管理人である鈴木健太郎さんの呼び掛けから始まった古民家改修、結果のべ300人以上の人たちが参加しました。
私自身も5回ほど参加したのですが、最初は数人の仲間うちだった参加者の中に、家具屋職人がいたり、建築家がいたり、水回りのプロがいたりと、回を重ねるごとにその道のプロな人が増え、多い日には30人近い参加者で普段静かな人里は大賑わい。
改修に参加するたびいつも思っていたのだが、鈴木さんや竹本亮太郎さん(鈴木さんを支える功労者)の人柄もさることながら、さまざまな想いで集まってくる人たちの面白さが多様なこと。
それはゲストハウス「へんぼり堂」がオープンし、ここで開催するイベント参加者を見ても通じるところがある気がします。
多くの人たちの手によって作り上げたバショがゆえに、その想いがゲストハウスとなった現在にも受け継がれて、バショが「つくる」「育む」コミュニティがここにあるのだろうと。
村の人も、都心の人も、みんながフラットに交流してつながれるバショ「へんぼり堂」について、そして田舎というコミュニティと融合しながら、ビジネスを創り出していくことについて、管理人である鈴木健太郎さんにインタビューをしてみました。
さっそくですが、檜原のいいとこ教えてください。
何と言っても、「東京本土唯一の村」というだけで面白いし、魅力的。
それに、海と田んぼ以外の一通りの自然が檜原村には全部あります。
お祭りや文化、歴史にまつわることも多く、結構懐が深いバショです。
檜原村に来て、そろそろ一年が経つけど、檜原村についての印象や、周辺住民との関係は変わりましたか? 逆に変わらないとこもありますか?
もともと田舎の現実みたいなところは知っているので、印象とかは特に変わらないです。
ただ、集落の人はどんどん「やる気」になっているように思います。今までこんなに多くの人が、人里(へんぼり)に来ることはなかっただろうから、最近では集落の人たちから「こんなことやったらみんな喜ぶんじゃないか!?」とやりたいことがどんどん出てくるようになりました。
ちなみに、気になる地域はありますか?
高知県室戸、群馬県上野村、和歌山県新宮市、山梨県芦川村、広島県尾道市、福岡県糸島市、栃木県茂木町、千葉県金谷ほか、それぞれの個性があるので多数あります!
そもそも、どうして檜原村を選んだんですか?
檜原村を選んだと言うより、田舎(過疎高齢化地域)で事業を起こすことがしたかったんです。檜原村に移住して地域活性をしている竹本亮太郎(以下、たけさん)にたまたま出会ったからです。
へんぼり堂の物件も、たけさんに探してもらい、借りることができました。
それはかなりラッキーなスタートでしたね! やはり、空き家を見つけるって難しいと思いますが、地域で物件を借りるために必要なことって何だと思いますか?
自分の事業を行う上で、まず空き家物件を貸してもらえることが一番ネックになるところでした。
田舎で空き家を借りるには、お金ではなく(家賃が1〜2万円とかなので、貸すメリットが小さい)、こいつにだったら貸してもいい!と思ってもらえる信頼関係が必要です。でも、その信頼関係を築くには1〜3年はかかります。
そうなってくると事業を進めていくハードルがとても高くなるので、たけさんのようにすでに村の人から信頼されている移住者などキーマンとなる方と組んで、一緒にプロジェクトを進めていくようなカタチをつくり、その人(キーマン)を通じて空き家を探す(借りる)のも一つの手だと思います。田舎でゲストハウスやろうと思ったキッカケを教えてください。
もともと何をしてて、どんな想いがあって起業したのですか?
新卒1期として2007年ウルトラテクノロジスト集団チームラボ株式会社にWEBディレクターとして入社して、3年位はWEBサイトの立ちあげを主にやっていて、後半の3-4年は新規プロダクト、新規事業の立ちあげを主に行っていました。
「日本再生」がチームラボの企業理念なのですが、それは資本主義経済の中で日本が再度イニシアティブを取ることを指しています。ぼくはこれからの世の中は、それも必要だけど、資本主義経済とはちょっと離れたところに暮らしをつくることが、これからの日本再生には必要になってくると思っていて、それを可能にする方法の一つが「田舎で継続的な事業を起こすこと」なんじゃないかと思って起業しました。まぁ、こんなこと言ってますが、(チームラボの)仕事がしんどくなってやってられなくなったのが先ですよ(笑)。
起業を考えた時点で、「これは絶対やれる!」とい勝算は感じてましたか?
絶対やれるっていうのはなかったです(笑)。
ただ課題となるであろう点は把握していたので、そこをクリアできなければ別の案に修正して、再度チャレンジというところは考えていました。
初期費用・運用費用ともに圧倒的に安く抑える点では、「絶対やれる」っていうのはありましが、集客・プロモーションなどはやってみないとわからないなぁって感じでした。
どんな戦略をイメージしてのスタートでしたか?
結構細かくあるのですが、特徴は下記です。
● 初期費用を徹底的に抑えるためにDIYで行う。
● 運用費用を徹底的に抑えるために家賃が安い所で行う。
● プロジェクトをつくっていくプロセスをプロモーションにしてファンを作る。
● 自社メディアのみでの集客・プロモーションを行う。
〈具体的な数値目標〉
・へんぼり堂のオープン(2014年9月ころ)までに
Facebookページ2000いいね!☆
述べ参加人数300人
・繁忙期(2014年4月ころ)までに
「檜原村」で検索した時に「HINOHARA+」が1ページ目に表示される
「檜原村ゲストハウス」で検索した時に「へんぼり堂」のHPが表示される
ゲストハウスをオープンするまでの流れを教えてください。
・2012年12月 たけさんに出会う
・2013年1月 たけさんが物件を見つける
・2013年2月 物件の視察に行く。物件決定
・2013年3月 プロジェクトメンバーを集める・2013年4月 設計プランを練る
・2013年5月 プロジェクト内容発表
Facebookページ開設
・2013年6月 着工開始プロジェクト内容発表
HINOHARA+サイトオープン
・2013年8月 へんぼり堂盆踊りに50人以上が都会から参加
1000いいね達成
述べ参加人数250人達成・2013年9月30日 宿泊業の営業許可をもらう
述べ参加人数300人突破
・2013年10月31日 2000いいね達成
・2014年1月 寒いから何もせず
・2014年2月 大雪災害で何もできず
・2014年4月 2500いいね!達成
HINOHARA+月間10,000PV達成
・2013年5月 HINOHARA+月間15,000PV達成
多くの参加者(見知らぬ人々)を村に呼んだことに対する村人に反応はどうでしたか?
ごく普通に村の人たちと挨拶を交わすことや、プロジェクトを始める前に近隣の方々に挨拶に行ったりしたくらいで、特別苦労した点はないです。
大家さんのコージさんを始め、集落の人たちがとてもよくしてくれて、何かあってもケツ持ちしてくれていたのが大きいです。
日が増すごとにどんどんいい人が集まってきて、集落の人と仲良くなってきて、みんな外から人が来ることを楽しみになっていきました。
現在、地元発信、地元完結にこだわったイベント企画していますが、そこにこだわるワケとは? (※ほぼ毎回満員となる現在受付中のイベント企画はインタビュー記事の下で紹介しています!)
このプロジェクトのコンセプトは「フルサトをつくる」です。ただ観光をするのではなく、ここに暮らしている人たちと暮らしの一部を共にする、そういうコトを目指しているからです。
檜原が持ってる資源の発掘はどうやって?
とにかく村の人に聞きます!面白い人いないですかねとか、面白い場所無いですかねとか。
田舎に人を呼ぶって簡単なことじゃないと思いますが。。。
いろんな地域の事例を調べて、しっかり集客できているイベントは沢山あるので、求めている人にちゃんと情報を届けられれば呼べるだろうなとは思っていました。
どんな人たちがイベントに来ていますか?
イベントの内容によって違いますが、基本的には人とのつながりが大切だと思っていたり、無理なく生きたいと思っていたり、ちょっと今の生き方が違うんじゃないかなとか思っていたりする人が多い気がします。
びっくりするくらいはみんないい人たちばかり来てくれます。
あとは自然とか、ものづくりが好きっていう人はもちろん多いですね。
最後になりますが、1年やってみてスタート時に描いていたビジョン(売上的なこと)とブレはないですか?
これは自分でもびっくりですが全くぶれてないですね(笑)。
ありがたいことにロマンもソロバンもほぼ一致しています!
ありがとうございました!
《現在受付中のへんぼり堂のイベント》
☆5/31-6/1 一泊二日本気の陶芸合宿!
http://hinoharavillage.net/post/83625936079/5-31-6-1
☆5/31-6/1 窯小屋再生プロジェクト第二回!
http://hinoharavillage.net/post/83697922176/ok
☆6/7-8 本気の草木染め合宿!
http://hinoharavillage.net/post/85773635839/6-7-8-1-2
☆new! 6/21-22 旅する英会話!外国人と一緒に座禅と写経!
http://hinoharavillage.net/post/85005339759/6-21-22
日本の滝百選にも選ばれた払沢の滝のせせらぎとマイナスイオンを浴びながら、外国人と一緒に心静かに写経と坐禅を体験しながらコミュニケーションを楽しむ企画。
☆大好評 6/24-25 平日開催!ヨガと座禅!てんこ盛りの二日間!
http://hinoharavillage.net/post/86479144809/6-24-25
平日休みだってみんなでワイワイしたい!ということで人気ワークショップのヨガに、座禅に、夜は温泉!帰りは滝見学、地元穴場イタリアンで解散の田舎暮らしも都会暮らしもてんこ盛りの二日間!
☆new! 6/28-29 ヨガと野山をFANラン!てんこ盛りの二日間!
http://hinoharavillage.net/post/86488280479/6-28-29-fan
ヨガの後、夜はのんびりと温泉!滝めぐりのFUNランに、地元穴場イタリアンで解散の田舎暮らしも都会暮らしもてんこ盛りの二日間!!
☆new! 7/5-6 自分で染める浴衣作り合宿!
ただ今準備中。
最新のイベント詳細は檜原村のオススメ情報サイトへ➡ 「HINOHARAプラス 」
Facebookをやっていない方はこちらをご覧ください。
また、「へんぼり堂」でなにか “やりたいコトがあるヒト” を応援しています!
詳細➡http://henborido.net/teachers.html
【HP】東京ひのはら村ゲストハウスへんぼり堂(地元びいき)
【HP】東京ひのはら村ゲストハウスへんぼり堂(公式)
【FB】東京ひのはら村ゲストハウスへんぼり堂
【HP】HINOHARA+
〈おまけ〉
兼ねてより鈴木さんは、「へんぼり堂」で培った経験やノウハウを、地域での起業を考えている人や、地域づくりに興味がある人、ゲストハウスや宿経営に興味がある人などに共有していきたいと話していました。
そこで早速、6月19日(木)【地域に入ってビジネス創出すること ~東京の中にあるトカイとムラと宿~】と題して、鈴木さんと品川駅近で外国人の往来も多い「トカイ」で宿を営む(株)宿場JAPAN代表の渡邉崇志氏とのトークイベントの開催が決りました!
東京という多様文化の中で創る「地域融合型ビジネス」について語ってもらいます。「トカイ」と「ムラ」という全く異なるコミュニティで宿を経営しているお二人なので、会話の中から様々なチャレンジや体験などが見えてくると思います。
(地元びいき 和田)
2014/5/20 更新