沖縄本島北部のやんばる地域や、離島のあちこちで「共同店」、「共同売店」という看板を見かけたことはないでしょうか?
一見、田舎なら日本中どこにでもある小さな個人商店のようですが、実はこれらの店、普通のお店とはちょっと違います。共同売店は、地元の人たちがお金を出し合って設立し、みんなで運営。儲けが出たら地域に還元するという、100年以上も前に本島北部の小さな集落で誕生し、沖縄の人たちの助け合いの心「ゆいまーる」が育んだ地域の店、それが共同売店なのです。目指せ、世界遺産!
共同売店は、明治末期の沖縄で誕生し、購買事業を中心に様々な事業を行なってきた独特の相互扶助組織です。というとちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、もう少し分かりやすくいうと、ムラのみんなで作って、みんなで運営しているお店です。
基本的には、村よりも小さな単位(字、小字、区)ごとに、地域の全戸(または一部)が共同で出資して設立し、 共同で運営を行なっています。現在の「農協」や「生協」などの協同組合組織に似ていますが、それよりも古く独特の歴史を持っています。
共同売店を支えているのは沖縄の助けあいの精神です。貨幣経済がムラに入ってきた明治の終わり頃、現金がなくては生活ができなくなっていく時代の流れに対応するために、みんなで助け合うためにお店を作ったのです。その売り上げは配当という形だけでなくムラの人みんなのために使われました。病気やケガで入院する人への医療費の貸与、奨学金の給付・貸与、ムラの行事への寄付など、貧しいムラの人たちにとって共同売店は、なくてはならない存在となりました。
売店、という名前から「単なる商店」と思われがちですが、かつては非常に幅広い事業を行なってきました。コミュニティ・ビジネスやソーシャル・ビジネス の原点としても再評価が進んでいます。また近年は特に、高齢化・買い物弱者問題などでその福祉的機能が注目され、お年寄りにとっては買い物だけでなく、お しゃべりの場として重要な場です。
文・写真 「共同売店ファンクラブ」ホームページ、フェイスブックより転載
HP http://w1.nirai.ne.jp/kyodobaiten/index.html
FB https://www.facebook.com/kyodobaitenFC
2013/9/3 更新