• Facebook
  • Twitter
  • 地元びいきとは
  • 問い合わせ

【ヤマロク醤油】100年を越える伝統を孫の代まで 三十二石大杉樽で、本物の醤油づくり

木の樽(杉樽)でないとあかん。
木の柱、土壁でないとあかん。
土間でないとあかん。ヤマロク醤油■山のふもとのろくろべえ

ヤマロヤマロク醤油クという屋号の由来は、先代の「ろくろべえ」さんが、山のふもと(現住所)に住んでいたことから、「山のふもとのろくろべえ」 略して「ヤマロク」 と呼ばれるようになったそうです。

■ルーツは兵庫県の赤穂

山本家のルーツは、忠臣蔵で有名な播磨国(兵庫県)赤穂藩から小豆島にやってきた、塩浜師と呼ばれる塩づくりの技術者と伝えられています。現在小豆島には大小20軒弱(明治の最盛期は大小約400軒)の醤油メーカーがありますが、山本、塩田、藤井という名字の醤油屋は赤穂がルーツとされています。元々小豆島は江戸幕府の天領(直轄地)として塩づくりが栄えた島ですが、新技術を持ち込み、塩づくりを産業化へと発展させるきっかけを作ったのが、赤穂の技術者たちでした。赤穂に続き小豆島の塩は「島塩」ブランドとして人気を博し、品質共に全国2位の生産量を誇るまでに拡大しました。

ところがその後、瀬戸内海沿岸のいたるところで塩をつくり出したことから、過剰生産となり、幕末に塩バブルが起きてしまいます。製塩業は急激に衰退し失業者が増大。加えて塩をつくる燃料として山の木々を乱伐したことで、島は度々干ばつに見舞われるようになっていました。元々耕地面積が少ない島では農業だけで食べていくことは至難の業。そこに人災とも言える自然災害が追い打ちをかけ、餓死者が出るほど深刻な事態に陥ります。こうして時代は厳しい局面を迎えますが、ここから塩を使った二次加工としての醤油造りが本格化して行きました。

■三十二石大杉樽

ヤマロク醤油

木の樽はおいしい『もろみ』を育てるゆりかごのようなもの。空気や水を通しながら、乳酸菌や酵母菌たちを育てます。

ヤマロクのもろみ樽は、三十二石(約6000リットル)の大杉樽を使っています。一つ一つが手作りなので大きさは多少違いますが、直径約2m30cm、高さ約2mの大杉樽が40樽。半分の大きさの樽が17樽あります。樽職人さんの目利きでは、使い始めてから既に150年以上経過しており、大切に使えば孫の代まではなんとか使えるとのこと。ただし産業構造の変化から杉樽職人が激減していることが未来の大きな不安材料でもあります。尚、国内に現在3000~4000本残っていると言われる大杉樽のうち、小豆島には1000本以上の樽が残っており、狭い地域にこれだけ醤油蔵が密集している地域も他に類を見ません。

木の樽はおいしい『もろみ』を育てるゆりかごのようなもの。空気や水を通しながら、乳酸菌や酵母菌たちを育てます。

■呼吸する蔵

ヤマロク醤油のもろみ蔵は100年以上前(明治初期)に建てられた蔵で、国の登録有形文化財(第37-0182~0184)に指定されています。木造平屋で床は土間、壁は土壁。見た感じボロボロですが、そこがごっついポイントです。実は樽以上に、梁や土壁、土間の中のボロっちーところには百種類という酵母菌や乳酸菌たちが暮らしているのです。つまり蔵は昔からずぅ~っとここで暮らしている菌たちの家。生きてる蔵なのです。

なので蔵を大きくしたくても建て替えがききません。蔵を新築しても菌たちがいなければお醤油をつくることはできないのです。よって少しずつ少しずつ手を加えながら大きくするしかありません。手がかかります。
ちなみに夏になると生きてる蔵の音(菌たちが発酵する音楽)が聞こえますよ♪

ヤマロク醤油

壁や柱、梁や土間の中には百年以上も前から、たくさんの菌たちが暮らしています。陽の当たる場所、当たらない場所。一樽ごとに微妙に味も違います。

ヤマロク醤油

今にも崩れそうなくらいボロボロに見える杉樽ですが、腐っているわけではなく、この中にも大切な菌たちが暮らしているのです。触るとフワフワしています。

ヤマクロ醤油

土壁は最も多くの菌たちが暮らす蔵の命。お金で買うことのできない大切なもの。風化して崩れ落ちた土壁は、新しい土と練り合わせ、元の場所に戻してあげます。

■ 鶴醤と菊醤

「鶴醤」は「深いコクとまろやかさ」を極限まで追求したヤマロク醤油の自信作。
「再仕込み製法」を用いて造るこの醤油は約2年の熟成期間を経て完成した生醤油を、商品にすることなくもう一度樽に戻し、再び原料(塩以外)を加えて、もう2年ほど仕込む二度仕込み。
倍の原料と歳月を加え自然の力でゆっくり育てること。塩の代わりに、かどのとれた生醤油の塩分を利用することで、これまでにない深いコクと香り、まろやかさを引き出しました。

ヤマロク醤油

鶴醤

深いコクとまろやかさを追求した「鶴醤」に対して、「菊醤」は原料にこだわり、あっさりとしたキレのある旨みと、口の中でほんのり香る甘みとコクを引き出した正統派のお醤油です。
原料には旨み成分が強い大粒の「丹波黒豆」を使用。小麦はうどんの本場、香川県産の「讃岐の夢2000」を使用しました。
あっさり目の味に加え、高貴な香りと端麗な色も特徴なことから、特に女性に人気が高いお醤油です。かけ醤油としてはもちろん、野菜の煮物など、色を奇麗に仕上げたいお料理にも最適です。

ヤマロク醤油

菊醤

■『食』を通した笑顔のコミュニケーション

作り手と買い手の『食』を通したより良い関係。笑顔のコミュニケーション。描いていた夢に少しずつ近づいていると感じています。加えて、これからは先代より受け継がれてきた伝統ある島の産業を守り抜いていくための努力。せめて向こう100年。自分たちの孫の代まで残す努力をすることが、今の僕たち世代に課せられた宿題だと思っています。時間やお金を搬出しては、少しずつですが、もろくなった蔵の壁や樽の修復作業を始めています。地獄はまだまだ続きますが、生産者とお客様、双方の顔が見える『食』を通したより良い関係づくりを進めていきたいと考えています。

今僕がこうして楽しく醤油づくりに励めているのは、お客様お一人お一人に支えられているからこそ。あらため、小豆島の海や山、自然に感謝。先代に感謝。蔵に感謝。そしてお客様から頂いた、ありがとうの言葉と笑顔に感謝。

■もろみ蔵見学体験

毎日使うものなのに、意外と知られていない醤油のこと。そこで、身近な醤油に少しでも興味をもって頂ければと、ヤマロク醤油では普段見ることのできない『天然もろみ蔵』の見学体験を受け入れています。自然の営みの中でゆっくりと育まれる昔ながらの醤油造りの様子や、自然の力がつくり出す醤油の仕組み。また、おいしい醤油をつくるための秘訣なども交えながら、知られざる醤油の奥深き世界をご案内しています。

もちろんご案内は無料です。予約なども必要ありません。突然のご訪問でも対応しております。小豆島にお越しの際は、お気軽にお立ち寄り下さい。

尚、見学にいらっしゃったお客様にのんびりして頂けるよう、軒先スペースに『やまろく茶屋』を併設しております。天然醤油の味と香りを引き出す 『焼き餅』 や、ヤマロクオリジナルの 『醤油デザート』、各種ドリンク類などをご用意しております。香ばしい醤油の香りと共に小豆島ならではの味を是非お楽しみください。

ヤマロク醤油(文・写真 ヤマクロ醤油HPより)

醤油屋は儲からんから継がんでええ……から10年。帰郷し、後を継いだ五代目奮闘記も是非一読ください!➡http://yama-roku.net/yamaroku/story.html
ヤマロク醤油【HP】http://yama-roku.net/index.html
ヤマロク醤油【FB】https://www.facebook.com/yamaroku

 


2014/2/8 更新

カテゴリ

タグ

新着記事