突然ですが皆さんは、地元の祭りに参加された経験をお持ちですか?
こんにちは。「常陸太田びいきな小坂の窓」こと小坂です。
田んぼの水鏡を利用し、美しい景色を2倍見られる大好きな季節となりました。また、この頃から大きな神社から小さな神社まで、夏や秋の祭りに備え準備が始まる時期ともなってきました。田舎に住んでいるからではありませんが、太鼓や笛の練習の音が聞こえると何故かわくわくしてしまうのは、私だけ?そんなことないですよね。太鼓や笛の音は大都会でも、路地をひとつ曲がった裏手では聞こえて来るかもしれませんよね。
皆さんも夏の暑い時期、お神輿を担いで練り歩いたり、出店で金魚釣りしたり綿あめやリンゴ飴、焼きそば食べたり、楽しいひと時を過ごした思い出があるかと思いますが、私は子供心にあと2日祭りが続かないかな〜などと思っていたものです。そんな子供の頃の願いが通じたのか、現在暮らす常陸太田市には、毎年7月初めから8月初めまでの約1ヶ月間行われる祭りがあるのです!
今回の「常陸太田びいきな小坂の窓」では、全国にある開催期間の長い祭りのことを調べつつ、常陸太田市で執り行われている祭事をご紹介してみたいと思います!
さっそくですが、全国にある開催期間の長いお祭りをちょっと調べてみたところ、1〜2日間開催が多く、10日、1ヶ月という長期間の祭りは全国的にも少ないようです。やはり子供時代の願いは夢に近いのかあな?と現実を受け入れています(苦笑)。
よく耳にする期間の長い祭りとしては、
・京都八坂神社:祇園祭(7月10日〜20日の10日間)
・東京芝大神宮:九月例大祭(7月10日〜20日の10日間)
・福岡櫛田神社:博多祇園山笠(7月10日〜20日の10日間)
・千葉県千葉神社:例大祭(8月16~22日の6日間)
・徳島県阿南市佐田神社:秋季例大祭(9月8日~10、13日の4日間)などが有ります。
「太田のよまち」「太田のだらだら祭り」
我が常陸太田で昔からだらだらと長い期間行なわれることから、地元では親しみを込め「だらだら祭り」と呼ばれています。私の住む町の近くにある鯨ヶ丘(旧太田町)は、鯨の背中の形に似ていることからその名が付き、太田の鎮守である若宮八幡宮を含めると二 十以上の神社があります。旧暦の六月一日の西三町「山田神社」をかわきりに、旧暦七月二日の栄町「稲荷神社」までの約一ヶ月の間に二十一の祭りが行われ、この一連のお祭りが「太田のよまち」「太田のだらだら祭り」です。
昔は、梅雨明けから真夏となるこの頃は疫病や害虫、風水害などの災いが起こりやすい時期でした。そのため人々は災いは怨霊や疫病神によってもたらされると考え、祭りで疫神を慰め神様の力で悪霊を鎮めようとしたそうです。昭和二十年代まではたいへんな賑わいだったと言われていますが、少しづつ寂れはじめ、昭和四十年代後半には世話人だけのひっそりした祭りになってしまいました。
しかしその後、町会、婦人会、子供会などによって復活し、現在は少しづつ賑わいを取り戻してきました。昔は怨霊や疫病神から人々を守るために行われたお祭りが、今ではコミュニティの結びつきを守ることに繋がっています。(「常陸太田ハイビジョン映像日記」より)
今回、この「だらだら祭り」の始まった時期を調べたところ、一説には水戸光圀公が、夏の夜、何もない太田の町に皆が楽しめる祭りを行いなさい!と号令し始まった説。
もう一つは、江戸時代中期頃にブームとなった伊勢神社参りから来た説。これは、当時、伊勢詣は幕府からの鑑札(商売をするための許可証)が下りやすかったため、常陸太田の町にも信仰する社の分社を数多く置いたことで、三峰神社など多くの社への参拝が盛んになりました。その後、「外宮から始まり123社を回り最後に内宮を参拝する全125社巡り」という伊勢神社の参拝方法になぞり、鯨ヶ丘に鎮座する各神社を順番に巡ることに合わせて祭りを開催したそうです。いずれにしても始まった時期は江戸時代中期のようですね。
では、毎年旧暦の六月一日より始まる「太田だらだらまつり」の日程と神社名を紹介します。
開催月日(旧暦) 神社名(町名)
7月2日(6月1日) 山田神社(西三町)
7月8日(6月7日) 熊野八坂神社(木崎二町)
7月10日(6月9日) 古刀比羅神社(内堀町)
7月15日(6月14日) 板谷稲荷神社(東二町)
7月16日(6月15日) 若宮八幡宮(宮本町
7月17日(6月16日) 水玉稲荷神社(塙町)
7月18日(6月17日) 舞鶴稲荷神社(中城町)
7月19日(6月18日) 下井水神宮(木崎一町)
7月20日(6月19日) 三峰神社(木崎一町)
7月20日(6月20日) 別雷神社(西三町)
7月23日(6月22日) 鋳銭座稲荷神社(山下町)
7月26日(6月24日) 愛宕神社(栄町)
7月28日(6月25日) 鹿島神社(宮本町)
7月29日(6月27日) 御岩神社(東三町)
7月29日(6月28日) 阿夫利、石尊神社(東一町)
7月30日(6月晦日) 伊勢神社(金井町)
7月31日(7月1日) 秋葉神社(東三町)
8月1日(7月2日) 稲荷神社(栄町)
※夜祭(よまち)が始まる日は、年によって変わる場合もあります。神社の名前を見てほほーと思われた方は、神社通です!全国にある神社の分社が20も有るんですから、全部回ったらどれだけご利益をいただけることかと思うばかりです。神社の名前もそうですが、地図でこの神社の場所を示すと鯨ヶ丘に入る各道の入口に鎮座され、鯨ヶ丘を守っているようにも見えます。この旧太田地区では、若宮八幡宮が鎮守とされていました。この地域の氏子である太田町には地縁氏神的な神社が存在します。これにより、若宮八幡宮の氏子が更に地縁氏神の氏子となっており町民は最低でも2つ以上の祭りに参加できる構造となっていました。そして、この祭りは、準備進行を氏子さんや子供会の親が行い、現在は、氏子以外の方も気軽に参加(いや顔出しでもOK)出来る楽しいお祭りになっています。地区によってはお神輿が出る町内もあります。子供から大人まで、地区またはそれ以外の住民とのコミュニケーションもはかれ、太田町の歴史や風土を知ることができる祭りなのです。(「常陸太田ハイビジョン映像日記」より)
先に書きましたように多くの地域の方々に支えられ、長年祭りや神事が継承され伝わっているからこそ、お祭りごとや神事など大きな問題もなく粛々と進むことと思います。特に地方の小さな神社などのお祭りが、今日現在まで失われずに続いていることも、そういった地元の方々の尽力だと思うと感慨深いです。
今回、地元の何気ない神社の祭りを取り上げたのは、この祭りが私たち家族にあるきっかけを与えてくれたからです。地元を何も知らない我が家族が、この町に約20年前に引っ越してきた頃、「太田だらだら祭り」を運営する氏子さんたちや子供会の皆さんはよそ者として見ることなく、どの神社の祭りにも温かく受け入れていただきました。毎年この祭りに参加するたびに、家族が地元民にとけ込んでいくきっかけとなったことを思い出し感謝しています。
夏祭りだけでなく、これらの神社は大晦日も楽しいんです!お参りに行くと甘酒やみかん、温かいうどん、蕎麦、運が良ければ缶チューハイをご馳走にいただけることも魅力ですね。これもまた、地元の方の協力があってのこととますます地元LOVEを深めています。
皆さんの身近にある、社寺やお祭りを見直すきっかけになれば幸いです。
(文・常陸太田びいきな小坂の窓/写真・常陸太田市)
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2015/6/3 更新