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〈新潟県長岡市〉ながおか くらしのクラス―山の暮らしを学んでみる―

地元びいきに関わっていて、さらに自身も移住を検討したことがある身だからでしょうか、ここ数年、田舎暮らしや移住に関するイベントが活発なように感じます。興味のある土地については、そこに行かなくても都内あちこちでイベントがあるので、情報収集がわりと簡単にできます。会場に赴けば経験者のお話しが聞けたり、その土地の名産品が食べられたり、お土産をいただけたりと、お得なこともあります。そんな中、私がこの夏注目しているのが「ながおか くらしのクラス」のイベント。その語呂がよかったから耳に残ったというのもありますが、個人的に長岡が好きで、長岡での山暮らしを知ることができるイベントだからです。ということで、まずは少し長岡を紹介させていただきます。

“滞在するとパワーがもらえる場所 新潟出身の私にとっての長岡は、そんな土地です。

新潟県長岡市は人口約28万人で新潟市に次いで新潟第二の都市です。長岡は、日本有数の豪雪地帯で、昭和38年には市内でも3メートルを超える大雪にみまわれています。これほどまでの雪の量で都市機能を保っているというのは、世界でもほとんど例のないめずらしい土地であるようです。気候的には人々にとって厳しそうなこの土地に、なぜ多くの人口が集まるのか、その秘密のひとつが、私も感じている、人を魅了するパワーだと思うのです。ながおか くらしのクラス 山の暮らし再生機構転んでもただでは起きない土地が人を魅了する

長岡のパワーは、長い歴史の中に復興というカタチとして何度も現れます。
幕末に長岡市は一度焦土となりました。長岡は徳川譜代大名の牧野家が治めていた越後長岡藩の城下町でしたが戊辰戦争に巻き込まれます。家老の河合継之助を中心に東北諸藩と奥羽越列藩同盟を組み新政府軍との激戦の末、敗北。そこから立ちあがる原動力のひとつとなったのは、「米百俵の精神」でした。敗北後の藩の窮乏に、支藩から米百俵が与えられましたが、藩政の改革をしていた小林虎太郎が腹を満たすのではなく次世代の育成のため教育費にあてたという話し。この精神は長岡の気風となって生きているのです。

昭和20年、太平洋戦争末期に、長岡は大きな空襲にあい市街地の約8割が焼け野原となりました。それでも空襲のなかった新潟市に次いで2番目に大きい都市にまで復興したのです。

記憶に新しいのが2004年の中越地震。マグニチュード6.8の大地震はとくに山古志地区をはじめとした中山間地域が甚大な被害を与えました。しかし、そこからの復興が見事であったと思います。長岡の復興は、壊れたものを元に戻すだけでなく、復興に向けた活動の中で生まれた人と人のつがなりを、新しい今までと違った未来づくりのパワーとしているからです。

例えば、長岡に縁もゆかりもない部外者と組んで地元集落行事を行ったり、ツーリズム事業、農作物の直売所や農家レストランをはじめたりしています。復興のためにやって来た部外者をうまく長岡に取り込んでしまっています。これは、長岡の人々の転んでもただでは起きない底力なのだと思いますが、復興活動に訪れた人々が、ころっと魅了され自分から居残ったという状況もあるのではないでしょうか。

中越モデルの復興活動

復興支援員による人的支援等の活動をしている公益財団法人 山の暮らし再生機構(以下、山の暮らし再生機構)で働く佐々木康彦さんも、まさにそのひとり。静岡出身で大学院卒業後タイのNGOでスラム改善活動に従事していました。帰国後は東京の都市計画コンサルタントとして働いていましたが、その時起きた中越地震の復興計画策定のため長岡を訪れました。復興計画策定が終了した後も、地震からの復興に関わり続けるため会社を退職し、長岡をはじめとした中越地域の地域づくりに現在も取り組んでいます。3年前からは長岡県山古志地域に住まいを移し、仕事以外に山の暮らしも同時に楽しんでいるとのことです。

佐々木さんらは、復興の過程で、前述のような新しい取り組みを入れて地域づくりをしていく復興活動を、「中越モデル」と呼んでいます。2011年3月に起きた東日本大震災で、まだまだ復興の進んでいない地域が東北には多数あります。こういった被災地に活かせるモデルであるとして、これを伝えていく活動も行っています。

山の暮らしをあきらめず、次世代に引き継ぐ

山の暮らし再生機構では、「中山間地域再生への創造的な取組みを通じた持続可能な中山間地域の形成」を目指しています。中山間地域の多い長岡には、日本の原風景を思わせる場所が多く、住民は自然と寄り添って暮らしています。そこには、美しい空気と水に恵まれた田園で育まれた米や野菜があり、美味しい酒もあります。当たり前のように生産者の顔が見える安全な食材を食べ、山で子どもを育てている母ちゃんが伝統料理を受け継いでいます。守られ続けてきた独自の伝統文化も現在に生きています。

例えば、山古志の闘牛。山間の豪雪地帯の棚田で荷物を運搬したり、田畑を耕作したりするときに、足腰が強く、寒さや粗食に耐えられる闘志にあふれる牛は貴重な働き手だったといいます。大切な牛とともに暮らしてきた人々は、牛の角突きを神様へ奉納する行事として行ってきました。一説では千年ともいわれるこの伝統行事は、地元の誇りとなっています。DSC_0224

それから栃尾の油揚げ。今では東京都内でもあちこちの居酒屋メニューに登場するこれは、「とちおのあぶらげ」と、わざわざ地名が付けられるほどプレミア感のある油揚げです。大きさも味も日本一と言われるこの油揚げは、200年以上長岡市栃尾で伝統的に食べられてきた食材です。

このような地域が、中越地震で最も被害を受けたのですが、そのことで地域の人たちがあらためて気づいたこともありました。「山で生きる、たくましい住民」がいかに魅力的で、いかに尊い存在であるかということです。そこで山の暮らし再生機構では、山の暮らしをあきらめず、次世代に引き継ぐために、山の知恵・山の食・山の掟などを山の人から学ぶ場「ながおか くらしのクラス」を開催しています。

とちおのあぶらげ ながおか くらしのクラス 山の暮らし再生機構

とちおのあぶらげ

都市と山、どちらも楽しむ暮らし

とはいえ、「山の暮らしを引き継ごう!」と言われても、ほいほい実行できる人は極めて稀だと思います。「狭い家、都会のコンクリートジャングルから脱出したい!」「自然の中で豊かに暮らしたい!」。そう思って田舎に移住する人も増えてはいますが、直面するのが、仕事の問題。「山でのんびりは幸せだけど、結局食えねえし……」なんてことにも。ながおか くらしのクラス 山の暮らし再生機構長岡はちょっと違うようです。前半で述べたように、長岡は新潟第二の都市。職場となるような企業も多く、人材は求められています。山の暮らしができる山間地域から市街地までは、車で30分程度の距離。つまり、”都市の働き方をしながら、山で暮らす”というジキルとハイドのような二重生活が簡単にかなう環境が整っている地域のひとつなのです。
しかもですよ、東京から長岡までは上越新幹線で1時間半。打ち合わせがあっても日帰り出張が楽々できる距離なので、フリーランスで東京の仕事をしながらの生活もできるとのこと。佐々木さん曰く
「晴耕雨読もよし。趣味に時間をさくもよし。豊かな自然のなかで子育てするもよし。新たな働き方を探すもよし。長岡では自分のライフスタイルを実現するための時間と場所をつくることができます。」

なるほど。そう考えると、移住とまでは意気込まなくても、ちょっと生活を変えてみたいと思っている人にも、手の出せる話しになってきますね。

越後長岡くらしのダイニング開催

さて、山の暮らしをちょっと知ってみたいと思ったあなた! 知れる機会があります。冒頭でお伝えした「ながおか くらしのクラス」が8月28日に東京で開催されます。今回は「越後長岡くらしのダイニング」というタイトルで、実際に暮らしている人の生の声を聞いたり、地元の食材をみんなで食べたりと、地域の魅力に肌で触れることができるイベントのようです。10月には、 参加者の意見を元に長岡暮らしを実際に体験できる東京発着のお試し居住ツアーも計画しているようで、興味のある人は、ちょっと顔を出してみてはどうでしょうか。(ここだけの話し、うまい地酒もいただけそうですよ。)

ながおか くらしのクラス 山の暮らし再生機構

昨年の様子

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こちらのイベントは終了しております。

《 越後長岡くらしのダイニング 》

日時:8月28日(金) 19:30~22:00
場所:いいオフィス 東京都台東区上野2-18-7 共同ビル3F
定員:30名
参加費(当日):2,000円(フード・ドリンク付き)

今回のくらしのクラスでは、雪国長岡の多彩な食文化魅了され、農産物加工会社nature farmしまだを立ち上げた島田夫妻(40代、移住歴20年)をゲストに迎えて、山で暮らす楽しみ、難しさなどを語っていただきます。19:30 山の暮らしトーク
20:30 長岡の食と酒で交流会
イベント詳細はこちらから!

参加お申込み方法:お名前、参加人数、住所、電話番号、Email、特に聞きたい話の内容等をご記入の上、郵送、電話、FAX、もしくはEメールにてお申し込みください。定員になり次第締め切らせていただきます。
お問合せ先:公益財団法人 山の暮らし再生機構(担当:佐々木)
〒940-0204 新潟県長岡市大手通1-4-11 水野ビル3F
TEL:0258-30-1213  FAX:0258-30-1205
Email: info@yamanokurashi.jp
ながおか くらしのクラス 山の暮らし再生機構
【HP】山の暮らし再生機構
【FB】くらしのクラス フェイスブックページ

(写真、情報提供・山の暮らし再生機構/文・黒川豆)

 


2015/8/3 更新

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