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〈福井県〉人口減対策、空き家情報公開が効果 若狭町の次世代の定住促進策に注目

福井県若狭町は基本戦略として「次世代の定住促進」を掲げ、町外からの移住サポート事業を積極的に進めている。昨年度は6世帯21人が移住、2011年度の3世帯8人、12年度の1世帯1人から急増した。これまで農業生産法人「かみなか農楽舎」を卒業した新規就農者が中心だったが、昨年度は空き家情報を公開する町のホームページを契機に移住する家族が目立った。人口減少対策の必要性が叫ばれる中、独自の取り組みが注目を集めている。

■空き家を活用
11年度に町とハローワーク、企業、学校関係者らでつくる「町次世代定住促進協議会」が発足。人口減少を抑制するため町出身の若者に住み続けてもらい、町外から多くの移住者を迎え入れるための施策を展開している。東京と大阪で移住希望者を対象にしたセミナーや、中高生向けに町内事業所を見学してもらうバスツアー、成人式に合わせて事業所PR展、出会い創出イベントなどを開いている。

中でも昨年度の実績につながっているのは、移住希望者と空き家所有者を結びつける「空き家情報バンク」。次世代定住促進協議会事務局の町政策推進課職員が空き家を把握し、所有者の意向を調査した上で、物件情報をホームページで公表している。11年度から始まった。バンクの登録物件を活用した人にはリフォームや改修経費を2分の1、最大100万円補助している。嶺北をはじめ全国の自治体関係者から制度の問い合わせがあるという。

昨年度、空き家バンクを見て移住したのは2世帯12人。京都府城陽市から一家8人で上黒田に移り住んだ千葉信吾さん(39)は、司法書士として司法過疎地での開業が目的だった。選択肢にあったほかの自治体ではいい物件を見つけられなかったが、空き家バンクを契機に現在の住み家を決めた。千葉さんは「町職員は何度も一緒に物件を見に行ってくれるなど、きめ細かい対応をしてくれた」と話す。

「かみなか農楽舎」卒業生で海士坂に移住した岐阜県高山市出身の島光毅さん(34)も「間に行政が入ってくれて、田んぼや空き家を紹介してくれた。ダイレクトに情報をくれるのは本当にありがたい」と、対応の手厚さを評価する。

■雇用問題がカギ
町は本年度も3組9人の移住希望者と交渉しているという。ただ、移住者の増加を一過性で終わらせないためには今後、新規就農者や自営業者以外の移住希望者について、雇用のミスマッチをいかに解消するかが重要となる。政策推進課の担当者は「企業の採用情報を迅速に、もれなく把握できるよう、さらに幅広い団体と連携していく必要がある」と指摘する。

移住者受け入れと並ぶもう一方の柱である町出身の若者の流出をいかに食い止めるかも課題。町の調査によると、地元の高校生が卒業後、進学などで町を離れるのは約7割。その後就職で戻ってくるのはそのうちおおむね4割だという。

町の担当者は「小中学生のときから保護者を含めて田舎の良さを意識付けすることも大事。息の長い取り組みが必要だが、就職で戻ってきてくれる人をなんとか増やしたい」と話している。(福井新聞より)


2014/10/6 更新

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