• Facebook
  • Twitter
  • 地元びいきとは
  • 問い合わせ

〈高知県〉増やせ土佐酒ファン 高知県酒造組合がアドバイザー養成

土佐の酒の特徴や味を知る“専門家”を育て、消費拡大につなげようと、高知県酒造組合は1993年から「土佐酒アドバイザー」の養成講座を開いている。一般の愛飲家も参加でき、これまでに343人のアドバイザーが誕生。今年は3年ぶりに12回目の講座が開かれ、男女17人が受講している。
きっかけは、30年余り前、小売店でつくる高知酒販青年会長の要望だった。
「大手清酒メーカーが、関西で日本酒の講座を開いていたんです。でも、高知県から参加すると旅費などでお金が掛かる。県内でぜひやってほしいと言われましてねえ」
土佐酒アドバイザー委員会委員長で、講座の立ち上げに携わった松尾昭仁郎さん(87)=松尾酒造会長=が当時を振り返った。
高知ならでは
松尾さんらは、清酒メーカーが使っていた資料を取り寄せ、講座の内容を検討。酒税法や日本酒の味といった基本的な項目に加え、高知県の酒造りや歴史など「土佐ならではのもの」(松尾さん)を盛り込んだ。
講座は1回当たり約2時間で、座学と利き酒実習が1時間ずつ。今年は6月中旬から8月末まで、10回にわたって開かれ、座学は高松国税局鑑定官室長や高知大学名誉教授、郷土史家、料理の専門家、高知県工業技術センター職員らが担当。最終回に筆記と利き酒の試験を行う。
7月中旬、高知市廿代町の高知県酒造組合で開かれた講座をのぞいた。テーブルに、土佐酒の注がれたコップが20個。
「今日は酸味の識別をしてもらいます。二つのコップのうち一つはリンゴ酸を加えています。その差を見分けてください」
この日の講師、高松国税局鑑定官室の池永敬彦鑑定官が、利き酒のテーマ「酸味の識別」について説明した。
利き酒は酒の味を知るために重要な「講座のメーン」(松尾さん)。実習には、味の濃淡や甘辛、香りといったテーマによって、糖や酸を加えるなどの下準備が必要で、高知県酒造組合技術顧問の玉木実さん(66)=元司牡丹酒造醸造部長=と末永賢一郎さん(64)=土佐鶴酒造工場長=の2人が、淡麗辛口の土佐酒を基準にした調整をしている。
夫婦で親子で
地酒の消費拡大を図る取り組みは、全国の酒造組合が実施しているが、試飲会など1日限りのイベントが多い。宮城県や山形県、広島県では一般や女性向けの連続講座を開いているものの、3~5回と短め。千葉県酒造組合の担当者は「高知県の系統立った取り組みは業界でも有名」と話す。
土佐酒講座では当初、酒の小売店や卸会社の男性が多かったが、次第に一般の受講生が増加。女性の参加者も多く、これまでの受講生の男女比率は6対4。夫婦や親子でアドバイザーの認定を受ける人も多い。
松木未来さん(27)=高知市=は飲食店を経営する夫が数年前にアドバイザー認定を受けており、「お客さんに合ったお酒を出せるようになりたい」と、今回受講している。
酒造会社の従業員も勉強の一環として受講しており、ある会社は「短期間で充実した内容を教えてくれる。利き酒はなかなか蔵でもできないので、組合がやってくれるのはありがたい」。
認定を飲食関係の仕事に生かしている人も多い。「利き酒実習で劣化させたお酒を口にするなど普段はできない経験ができた。講座は、お客さんに日本酒のことを尋ねられたときの、私の答えの基礎になっている」と高知市の城西館で働く市原俊二さん(37)。
松尾さんは「酒造りは高知県を代表する産業。土佐酒を分かってくれる消費者がいることで、酒造りもレベルアップする。養成講座に興味を持ってくれる人も多く、できるだけ長く続けていきたい」と話している。(高知新聞より)

高知県 土佐酒アドバイザー 養成講座


2014/7/28 更新

カテゴリ

タグ

新着記事