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〈北海道〉国内唯一の馬具メーカーが世界の革製品市場を開拓 ソメスサドル・染谷昇社長

北海道の歴史は、馬による開拓の歴史でもあった。今は機械化により、土木や農業などに馬は使われないが、道内には馬の産地もあり、馬とは切っても切り離せない。

その北海道では、現在、馬具メーカーは「ソメスサドル」(本社・歌志内市)の一社だけ。

砂川市にあるソメスサドルの砂川ファクトリーは広い敷地に、レンガ造りのおしゃれな建物。おしゃれな内装のショールームと棟続きだ。裏手では馬が草をはんでいる様子がみえる。

今年で50周年。馬具だけではなく、バッグなど一般の革製品に進出している。ノウハウは持っていたが、ブランドが確立できるまでは、ゼロからのスタートと一緒」と、染谷昇社長(62)は、今も手綱を緩めない。

1985年に創業時のオリエントレザーから現在のソメスサドルに社名変更した。ソメスサドルという社名は、造語。フランス語の頂点を意味する言葉と英語の「くら」をかけあわせた。

「たまたま名前のソメヤに似た」と、笑う。染谷社長は5年前に5代目社長に就任。「可能性にかけてみよう」と、海外のブランドに対抗するべく、革製品の製造販売に進出した。

とはいっても、基本には馬具がある。馬具という人の命にかかわる道具で、技術の伝承は大切な部分だ。

「JRAの騎手の7割から8割が使っている」というほどの信用度。
「みなさんプロですから、安心感が必要でしょう」という。
馬具は、開拓の歴史とともにあった。「地元への愛情がある。北海道の企業ということで、当たり前のこと。地元に何ができるか。原点は変わらない」

4年前にドイツに出掛けて、いろいろと感じることがあったという。ドイツの乗馬人口は70万人、日本はというと7万人。レベル違いも実感し、カルチャーショックを受けた。原点に返り、それでもやれることはあると、染谷さんは、初心者用のくらを開発した。初心者が落馬することが多いことに、心を痛めたからだ。

「このくらで、落馬がほとんどゼロになったが、まだまだやることはある」

創業以来、本社を歌志内市に置いている。「1964年に炭鉱が閉山になって、興した会社。創業者は道内の馬具職人を集めて、歌志内に作った」のがそもそも。

ショールームや工場のある砂川ファクトリーの場所は、かつては農地だった場所で、敷地内には社員の手で木を植えた。

「20年経って、木も成長して、良い空気が流れている」と染谷社長は目を細める。

ソメスサドルでは現在、500アイテム以上の革製品がある。「色を変えるともっと多くなる」

徐々に、そのブランドとしての名前も浸透してきて、世界的に愛好者も多くなっている。

北海道を開拓してきた馬。現在はその馬具メーカーが、世界の革製品市場を開拓している。(産経ニュースより)


2014/6/16 更新

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