• Facebook
  • Twitter
  • 地元びいきとは
  • 問い合わせ

【FoundingBase】ワクワクする社会を、いま、ここから。

日本で最も過疎化が深刻な島根県、その中でも県内ワーストの人口減少率の自治体、津和野町に都会の大学生や社会人が短期移住して町づくりに携わっている。仕掛けているのは、都内に拠点を構える株式会社FoundingBase(ファウンディング・ベース)。
「ワクワクする社会を、いま、ここから」という考え方のもと、住民参加の町づくりを推進する同社の活動に迫る。

1081077_10200216254476599_575630913_n 《FoundingBaseとは》

FoundingBaseは、都会の大学生や大学院生であれば最低一年間の休学を活用し、また社会人(キーマン)であれば転職先として、地方自治体の「首長付」に就任し、町長(首長)と一緒になって町づくりを実践する「期間限定首長付就任インターンシッププログラム」を行なっている。foundingbase彼らは、地方に住み込み、役場の臨時職員として勤める。役場の職員といっても、窓口業務をするわけではなく、自分たちの興味関心に沿った分野で町の課題を発見し、その課題を解決するための事業提案を行い、役場の上司や町の人々に承認してもらった上で、その提案を実行に移す。

提案をかたちにするために町の人々を巻き込んでプロジェクトを推進するチームを作り、提案者本人がいなくなってもその事業が継続する体制作りをしながら、町の課題を解決するプロジェクトを事業化することを目指して一年以上活動するというプログラムである。

この取り組みはボランティアではなく、あくまで「仕事」として地域の課題を解決するプロジェクトとして実践していく。つまり、給料等が発生する以上、学生や若手社会人に関わらず、「本気で仕事に打ち込み、町の課題を解決する」取り組みなのである。

現在は、島根県津和野町と岡山県和気町の二自治体で活動していて、東京からは様々な分野の専門家(デザイン、建築、映像、プログラミング等)がキーマンの活動をサポートしている。

《設立の経緯》

このユニークな町づくりプログラムを展開する株式会社FoundingBaseは、共同代表の二人、林 賢司と佐々木 喬志によって立ち上げられた。

共同代表の一人である林は大学在学中より「より良い社会には個々人の意思と自発性が尊重されたコミュニティが必要」という考えのもと、町づくりのプロジェクトに関わってきた。在学中に携わった長野県白馬村におけるプロジェクトをきっかけに起業し、その後、町づくりのプロデューサーとして全国各地で仕事をしていた。
10,000人以下のコミュニティの規模感に強い関心を持っていたが、過疎地域での町づくりプロジェクトで常につきまとうのが「人材不足」の課題。どれだけ良いアイディアを地域のコミュニティで練り上げても、「人材がいないから」という理由で実行できないことなどがあったという。

FoundingBase

林 賢司 代表

一方、佐々木はリクルートを退職後、先輩と共にグローバル人材(外国人留学生、日本人海外経験者の就職支援)に関する会社を立ち上げ、企業の採用担当者と取引をする中である課題に直面していた。それは企業側には海外でも活躍出来る人材が欲しいというニーズがあるものの、学生がそのニーズを満たしていないという課題である。
企業が求める人材の一例として「グローバル人材」というものがある。これは単に英語が話せる人材という意味では無い。企業側が求める人材は、たとえ一人海外に放り出されても、その土地の文化に適応し、何をしなければいけないかを自ら考え、企画し、リサーチし、事業を実行していく人材を求めている。
しかし、現行の大学制度や学生の学生生活に対する認識、就職活動に対するイメージ等から、そういった人材を育てる素地がないというのが、当時、佐々木が企業担当者とやり取りして抱えていた課題だった。そこで佐々木が考えていたことは、「理不尽な環境」や「圧倒的な目の前にある困難な状況」で自分がやりたいと考えていることに責任と役割を持って、実際に実行していくプロセスこそ成長機会になるのではないかという仮説だった。

FoundingBase

佐々木 喬志 代表

「地方における人材不足」を課題として捉えていた林と、「学生にとっての成長機会不足」を課題として捉えていた佐々木が出会い、お互いに意見交換を行い、そしてその場で、「学生が地方に移住して、プロジェクトを実施する」という、地方にとっても人材不足解消のメリットがうまれ、学生にとっても成長の機会になるのではないかという事業の枠組みが浮かび上がった。
このときFoundingBaseの前身であるInnovation For Japan事業(IFJ事業)が始まった。2011年11月のことである。

《FoundingBaseの活動》

FoundingBase(前身:IFJ)の活動は、2012年4月から島根県津和野町で始まった。団体では、その前年の11月から自治体の首長付となる若者の採用支援を行い始めた。

foundingbase

参加学生の面々です!

共同代表の林は、「当初若者や学生に対して大学を1年間休学したりして、何があるかわからない町に、1年間行ってくれと言われて行く人達が本当にいるのかという不安もあった。」と語る。
しかしながら、考えすぎるよりも行動という思いから、学生を中心とした若者に対して告知を行い、東京で島根県津和野町長を招き、都市部の若者を60人ほど集め「町長を囲む会」を実施した。そこで4人の学生が実際に町に行きたいという話になり、2012年4月にプロジェクトが実際にスタート。
2年目となった2013年4月には6人の学生が参加し様々なプロジェクトを実施した。今年度は島根県津和野町に加え、岡山県和気町も実施自治体に加わり、合計で10名の参加者が都市部から両町に移住して活動を行っている。

津和野町の観光における具体的な活動としては、「地域の人たちが作るまち歩きマップ」「まちの紹介冊子」の作成や、若者向けの町の楽しみ方を提案する「ROLE PLAYING TSUWANO」などを行っている。

教育分野の活動では、公営塾の設立・運営、高校魅力化のための取り組みを実施し、地方の生徒数が減少する高校の存続と、教育に強い町としてのブランディングに関わっている。

公営塾の指導中

公営塾の指導中!

農業分野では「まるごと津和野マルシェ」の実施、地場野菜の町内流通促進のための取り組み、加工品の開発などを通じて農業振興を行っている。

foundingbase

まるごと津和野マルシェ

また和気町では多様な地元団体が協働して、町の中心部にある遊休施設をリノベーションし、交流拠点を作る取り組みや、高校内で地域資源を活用し総合学習のカリキュラムを作る取り組みを行っている。FoundingBase

FoundingBaseでは、過度な程、都会に滞留している「人、モノ、金、情報」を各地域に適材適所で配分し、地域の魅力を最大化していくことを目指している。ただ人が地方に行っただけでは活性化しない。教育、飲食、農業、観光など町を構成する多面的な要素の中にそれぞれの若者がポジションを作り、それらが有機的につながっていくよう全体設計をしている。

つまり、学生を始めとする都市部の若者を地方に移住させるのではなく、中期的に町に携わり、町の中で経済、文化、町づくり等の各種活動を行うことで、都市と地域との「人、モノ、金、情報」の流通を加速させ、今後の地方の在り方を模索しているということである。(写真・FoundingBase/文・FoundingBase 福井 健)

【HP】FoundingBase
【FB】FoundingBase


2014/6/17 更新

カテゴリ

タグ

新着記事