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〈宮城県〉津波伝承 語り部の存在感増す IT端末駆使、通訳養成

東日本大震災の被災地で、被害状況などを伝える語り部が存在感を増している。復興工事が急ピッチで進む中、津波の脅威を言葉で説明する必要性が高まっているからだ。一部がタブレット端末を駆使して当時の体験を分かりやすく伝えているほか、海外客向けに通訳の養成を目指す動きも出てきた。

宮城県石巻市の地域づくり団体「みらいサポート石巻」が4月、市内で行ったガイドツアー。貸与されたタブレット端末を片手に、参加者が語り部と一緒に中心部を歩いた。端末には震災前後の街の写真が収録され、現状との比較が可能になっている。被災者の音声データを聞くこともできる。みらいサポートなどがアプリを開発し、ことし3月に運用を始めた。

初めて石巻を訪れた東京都の会社員河西ひろみさん(38)は「被災者の話を聞いたり、現場を見たりする意味がこれほど重いとは思わなかった。より多くの人に訪問を勧めたい」と話した。
宮城県が設立した「みやぎ観光復興支援センター」(仙台市)によると、ことしの被災地訪問は大型観光宣伝があった昨年より落ち着いているものの、語り部の需要は衰えていないという。佐藤一彦センター長は「がれき撤去が終わり、訪問客が被害程度を理解するのは難しくなっている。タブレット端末に限らず、震災の画像などをガイドに生かす工夫が求められる」と指摘する。

震災体験をより広く伝えるための模索も続く。語り部タクシーを運行する「仙台中央タクシー」(仙台市)は現在、宮城県国際化協会と協力し、同行する通訳の研修会を計画する。来年3月に仙台市内で第3回国連防災世界会議が開かれることもあり、発信力の強化が必要と判断した。同社の神田稔専務は「海外からは震災直後に社会秩序が保たれていた点も注目されている。通訳との連携で外国人客のニーズを探りたい」と力を込める。

岩手県内ではNPOなど12団体が窓口となり、現地で津波体験を学ぶプログラムを展開中。2012年度に8万人弱だった訪問客は、集計済みの13年4~12月で既に9万人を突破した。13年度からは、県事業として語り部のスキルアップやネットワークづくりが進む。県観光課は「震災学習は沿岸観光の柱になる。津波の伝承、防災意識の高揚にも貢献したい」と話している。(河北新報社より)

「みらいサポート石巻」についてはこちら


2014/4/28 更新

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