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〈ニッポンのお菓子〉「おはぎ」さんと「ぼた餅」さんの話

こしあんが「おはぎ」で、粒あんが「ぼた餅」? 米粒が残っているのが「おはぎ」で、完全に餅になっているのが「ぼた餅」?・・・この2つ違い。ちょっと調べてみただけでも、諸説あってなかなか面白い。
美しい風情の日本語が、こんな身近な「おはぎ」に隠されていたなんて。。。息抜きにでも読んでみてください。

「おはぎ」と「ぼた餅」の本当の違い

実は、「おはぎ」と「ぼた餅」は基本的に同じもので、違うのは食べる時期だけ。それぞれを漢字で書くと「ぼた餅」は「牡丹餅」、「おはぎ」は「お萩」。

「ぼた餅」は、牡丹の季節、春のお彼岸に食べるもので、あずきの粒を牡丹に見立てたもの。一方、「おはぎ」は、萩の季節、秋のお彼岸に食べるもので、あずきの粒を萩に見立てたものだそう。

では、なぜ牡丹にだけ餅が付いたのでしょうか?
その由来は、倭漢三才図会に「牡丹餅および萩の花は形、色をもってこれを名づく」とあり、牡丹餅が「ぼた餅」になり、萩を丁寧に言って「おはぎ」になったというのが、最も一般的な説とのこと。

よって、春は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」と春秋使い分けるのが正しいのだが、現在は年中「おはぎ」で通すお店が圧倒的に多い。
今回初めて知ったのだが、実は、夏と冬にも別名があるらしい。

ぼた餅

春のお彼岸に食べるのが「ぼた餅」でこしあん

夏と冬にも別名があった!

夏の「おはぎ」は「夜船」
「おはぎ」餅つきをしない。よって杵でつかないので、「ペッタン、ペンタン!」と音がしない。正しくは、もち米とお米を混ぜて炊き、すりこぎで半つぶしにするので、ペッタンペッタン音がしないため、お隣さんなどからするといつついたのか分からない。
そういうところから、
→ 搗(つ)き知らず → 着き知らず、となり
→ 夜は船がいつ着いたのか分からないことから、「夜船」となったのだそうだ。

んんんん〜何だか強引(笑)。でもこの夏の夜船。なんとなく夏と夜船がシックリくるところが不思議。

冬の「おはぎ」は「北窓」
続いて冬バージョン。北窓と言われて分かる方います?
夏バージョンの「夜船」に負けず劣らずな強引っぷりで、なかなかの難問。

杵でつかないので音がしない。だから、いつついたのか分からない、ここまでは同じ。漢字に注目!

→ 搗(つ)き知らず → 月知らず、となり
→ 月の見えないのは、北の窓なことから「北窓」となったとのこと。

んんんん〜言葉の芸術!(笑)

季節感と風情の「おはぎ」

昔の人は、「おはぎ」1つをとっても4つの名前をつけるほど、自然や季節との結びを大切にし、遊び心もありながら風情を楽しんでいたのだろうと関心してしまう。

春の「ぼた餅」
夏の「夜船」
秋の「おはぎ」
冬の「北窓」

おはぎ

秋のお彼岸に食べるのは「おはぎ」で粒あん!

「おはぎ」と「ぼた餅」のあんこ

粒あんが「ぼた餅」で、こしあんが「おはぎ」と思っていたのだが、実は違うようで、あんの材料である小豆の収穫時期に関係が!

秋のお彼岸は、小豆の収穫期とほぼ同じで、とれたての柔らかい小豆をあんにすることができる。柔らかい皮も一緒につぶして使うのでつぶあん。
春のお彼岸は、冬を越した小豆を使うことになるので皮が固い。そのままに使っては食感が悪いので、皮を取り除いた小豆を使ったこしあんとなる。
よって正しくは、春の「ぼた餅」はこしあんで、秋の「おはぎ」は粒あん。しかし、今では保存技術の発達や品種改良により、一年中通して、皮のまま使うことができるため、この理由にこだわる意味ががなくなってしまっている。

「ぼた餅」と「おはぎ」の歴史を思い、春のお彼岸にはこしあんの「ぼた餅」を、秋のお彼岸には粒あんの「おはぎ」を頬張る。年に2度しかない季節の風情だもの、そんなことを感じながら四季を楽しみたい。


2014/4/22 更新

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