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〈伝統行事シリーズ・石川県〉青柏祭の曳山行事

石川県七尾市に伝承され、重要無形民俗文化財に指定されている、若葉萌える5月に行われる大地主神社(山王神社)の例大祭であり、能登地区最大の祭礼。
高さ12m、重さ20tの日本一大きな山車「でか山」3台が狭い町なかを曳き廻される。訪れる人々が山車を曳くことができる参加型の祭り。

「能登はやさしや土までも」素朴な人情、能登の風土のなかに生まれた素朴で巨大な『でか山(曳山)』。
この祭りの日を農耕作業や野外仕事などの季節の変わり目とし、人々の生活の中に深く溶け込んだ、神と人との交歓し合う、能登路の春を彩る迫力のある最大の祭りです。
神饌を青柏の葉に盛って神前に供え、天下太平五穀豊穣を祈る大地主神社(通称:山王神社)の春の例大祭「青柏祭」に、各山町から3台の『でか山』が奉納されます。
その起源は古く、中世能登守護職 畠山義統の世からだとも言われ、4月の申の日に開催されていたそうだ。 この申の日に行われる理由となった伝説が残っている。

猿神退治の話「山王社の人身御供」

昔、七尾の山王神社へ毎年美しい娘さん一人を人身御供に差出すのがならわしであった。その年も一本の白羽の矢が某家の屋根に立った。娘を差出せとのお告げである。

その家の主は、何とかして娘を助けることができないものか、と考えあぐねて、ある夜のこと、身の危険もかえりみず、社殿に忍び入って様子をさぐってみた。
草木も眠る丑三つ(深夜、今の午前2時から2時半)の頃、何やら声が聞こえる。耳をすますと、「娘を喰う祭りの日が近づいたが、越後の『しゅけん』は、よもや自分が能登の地にひそんでいることは知るまい。」と呟いているのであった。

人身御供を要求しているのは何者なのか、また、その者が恐れている『しゅけん』とは、何なのか、娘の父は知る由もなかったが、兎も角、越後へ赴き、『しゅけん』なるものの助けをかりようと出かけた。
『しゅけん』の所在を八方尋ね、ようやく会うことができた。それは、全身真白な毛で覆われた狼であった。

娘の父が事情を話し助けを求めるのに対し、『しゅけん』は深くうなずき、「ずい分以前に、よその国から3匹の猿神が渡ってきて、人々に害を与えたので、そのうち2匹まで咬殺してやった。あとの1匹は所在をくらましてしまったが、能登の地に隠れておろうとは夢にも知らなかった。それでは、これから行っ て退治してやろう。」と、娘の父親を伴い、波の上を飛鳥のように翔けて、明くる日の夕方に七尾へ着いた。

祭りの日、『しゅけん』は娘の身代わりに唐櫃(からびつ)に潜み、夜になってから神前に供えられた。
その夜は、暴風雨の夜であった。
雨風の音までかき消すような格闘の音が物凄く、社殿も砕けてしまう程であった。

翌朝、町の人々は連れ立ってこわごわ社殿へ見に行くと、朱に染まって1匹の大猿が打倒れ、『しゅけん』もまた、冷たい骸となって横たわっていた。

町の人々は、『しゅけん』を厚く葬り、後難を恐れて、人身御供の形代(かたしろ)に3匹の猿に因み、3台の山車を山王社に奉納することになった、ということだ。(青柏祭でか山保存会HPより)青柏祭の曳山行事


2014/3/18 更新

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