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〈日本の民話:栃木県〉朝茶一ぱい

「朝茶はその日の難逃れ」
「朝茶は七里帰っても飲め」
「朝茶は福が増す」
「朝茶に別れるな」
と言ったことわざを耳にしたことはないでしょうか?
どれも「朝にお茶を飲むと災難から逃れられる、幸運が訪れる」という意味があります。
そんなことわざの元になったようなお話が、栃木県の「朝茶一ぱい」をはじめ、山形県などにも見られます。

「朝茶一ぱい」
茂木町の鮎田というところに、朝から晩まで一生懸命に働く、佐平という正直者の百姓がいました。ところが何の間違いか、ある夜、突然お役人に捕えられてしまいます。気の弱い佐平は役人に加えられた拷問に怯えて、してもいない罪を認め、斬首の刑に決まってしまいます。
刑が執行される日、佐平の両親は「最後に一杯だけ、息子にお茶を飲ませてやりたい」と役人に嘆願し、哀れに思った役人は一杯だけならと、それを許します。ところが佐平は「お茶はいらないから、早く殺してくれ」と言って、処刑場へ向かってしまいます。
その頃、「佐平は赦免じゃ!どけーっ!」と、役人が役所の方から処刑場へと馬を飛ばしていました。しかし、駆けつけた時には、時すでに遅し…。すでに佐平は処刑されていたのでした。
「お茶さえ飲んでいれば、処刑されずに済んだのに」「朝茶一ぱい百難除くとはこのことだ」そう言って、この地方の人たちは、朝茶を勧められた時は必ず飲むことにしている、というお話です。


2014/2/18 更新

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