眼鏡・繊維・漆器・和紙・刃物などの地場産業が集積する福井県嶺北地方。
この地域が移住者たちで少しずつ盛り上がろうとしています。仕掛けるのは「TSUGI(ツギ)」というデザイン+ものづくりユニット。TSUGIは20代の若者7名で構成され、メンバー全員が福井県へのIターン・Uターン者。
学生時代参加した河和田アートキャンプをきっかけに、福井のものづくりや文化に魅力を感じて移住してきました。現在はそれぞれ木工職人・眼鏡職人・デザイナー・編集者として県内の企業や団体で働きながら、「自分たちが住むまちに息づく文化や地場産業の魅力を、県外の人に知ってもらいたい」という思いで、2013年に活動がスタートしました。
TSUGIの活動目的
・ものづくりを志す若手が10年後の地場産業を担えるように、切磋琢磨できる環境をつくること(担い手たちの交流)
・福井のものづくりファンを増やしていくこと(福井のファンづくり)
・自分たちが住むまちを、作り手や感度の高い若者が集まるような場所にすること(交流・定住人口の創出)
・地場の資源や技術を活かしたプロダクトを製作し、販売することで産地内の仕事を作りだす(地場産業の活性化)
「意識ある人たちが集まれる場所をつくる」
TSUGIのメンバー達が住む福井県鯖江市河和田地区は人口4,400人の小さな集落ですが、越前漆器や眼鏡といった地場産業が根付くものづくりの里です。年々人口が減少し、過疎化が進む地域ですが、2013年の秋にこの集落にある錦古里漆器店という塗り工房をセルフビルドで改装し、「TSUGI Lab / ツギラボ」というプロジェクトを始めました。このプロジェクトでは「ものづくり」をテーマに未来の産地を醸成する様々なイベントを開催しています。意識が高い人が集まることで、モノとコトがつながり、次の時代のものづくりを創造することを目指しています。
現在進行中のプロジェクトの紹介
ウェブマガジン「TSUGIBA」長い歴史の中で、暮らしの変化を受け入れながらしなやかに進化し続ける福井県嶺北地方のものづくりを伝えるウェブマガジン「TSUGIBA / ツギバ」の運営。
ものづくりワークショップ嶺北地方の地場産業を題材に、職人が講師になり初心者でも楽しめるワークショップを開催します。ものづくりの魅力を楽しく学ぶことで、地場産業に関心を持ってもらうことが狙い。第1回目は金継ワークショップを開催予定です。
トークイベント「MONO TALK」「MONO TALK / モノトーク」はものづくりを生業にしているトップランナーを招き、それぞれの経験を語ってもらうトークイベントです。ゲストが今まで手がけてきたプロジェクトのお話や、ブランディングについての考え方を主体的に学ぶことで、産地が抱える課題を解決する糸口を探ります。
TSUGI CAFE地元で採れた野菜やハーブと、地場のテーブルウェアを使用したカフェを不定期で営業しています。
ここでしか体験できない、わざわざ行きたくなるような場づくりを目指しています。
地場の技術を活かしたプロダクトデザイン福井の技術を活かしたオリジナル商品の製作をしています。第1弾は同じく移住者の木工作家とコラボレーションし、お椀を挽く技術でランプシェードを製作中。今年中の販売を目指します。また地域から依頼を受けた農産物のパッケージデザインやブックレットデザインのプロジェクトも進行中。
「移住者たちのつながりが地域を巻き込む」
福井にはまだまだ知られていない技術や知恵、文化がたくさん眠っています。
TSUGIではそれらの魅力を「ヨソモノ」の視点から掘り起こし、プロジェクトを通して県外に発信することで、「福井って今まで知らなかったけど、かっこいい地方だね」と思ってもらえるような環境をつくっていきたいと考えています。また最近ではTSUGI以外にも木工作家・デザイナー・アーティストが河和田地区に移住し、それぞれ工房ショップや古民家をリノベーションしたギャラリーをオープンさせるために準備中と、にわかに活気づこうとしています。これらの動きが面的につながり、互いに切磋琢磨していくことで、過疎化が進むこの地域が少しで盛り上がればと思います。
活動を応援してくれている漆器職人さんに教えてもらった「大木でなくてもいい。細くても、風に当たりながらも“強く、しなやかな”ものづくりが大事だよ」という言葉を胸に、若者たちの挑戦は続きます。(文・写真 TSUGI)
TSUGI【HP】http://tsugilab.com/
TSUGI【FB】https://www.facebook.com/tsugilab
河和田アートキャンプ【HP】http://aai-b.jp/ac/
2014/1/25 更新