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【群馬県】古代より綿々と伝えられてきた伝統技術〜岩島麻保存会〜

日本一質の良い麻と言われ、毎年伊勢神宮にも奉納している岩島麻。古代より綿々と伝えられてきた伝統技術について、保存会の活動について紹介します。

「岩島麻保存会」の活動

岩島麻保存会

※無断転用禁止(東吾妻郡教育委員会)

全国に優良品質の麻の生産地として知られた「岩島麻」も化学繊維の波におされ、消滅の危機に直面しました。このため貴重な生産技術を後世に伝えるため、故海野恭斉氏が発起人となり、昭和41年「大麻保存協議会」を結成し、昭和52年「岩島麻保存会」に発展しました。平成4年5月には、群馬県選定保存技術第一号として認定されました。
今上天皇即位に伴う大嘗祭に使用される麻は、徳島県の「三木家」が献上する古例になっていましたが、徳島ではすでに麻栽培の技術が絶え、「岩島麻保存会」が現地に出向いて種子を提供し、栽培から麻挽きまで技術指導に行い、大嘗祭に間に合わせました。
現在は、日本民族工芸技術保存協会・群馬県神社庁・東吾妻町教育委員会の後援により15人の会員によって、貴重な伝統技術が守られています。

麻の栽培と加工

・播種期
「岩島のおまき桜」が咲く頃、良い日を選び共同作業で整地、施肥を行い、種まきと同時に寒冷紗をかける。
麻は約一週間ほどで発芽し、10cmほどに伸びた頃、本数や間隔をそろえるために一回目の間引きを行い下土寄せをする。約30cmほどに成長した頃、2回目の間引きを行い収穫に備える。

・収穫期
7月下旬頃、麻の成長と時期をみて晴天の日に麻こぎを行う。
麻こぎは、まずコキソ(屑麻)・シタソ(短麻)・ボウタ(太麻)を抜き取り、次いでニカイソ(中麻)・ホイソ(長麻)を上部の葉をつかんで強く引き抜く。その後、等級ごとに麻切り鎌を使い「根切り」「葉切り」を行い、束ねて一定の長さ(190cm)に切りそろえる。
一束の麻をその場で麻釜の沸騰した湯に根本(下半分)から入れ、2〜3分煮た後、葉側の上半分を同様に煮る。これは、麻の組織を丈夫にすると共に害虫を殺す目的で行う。
これを天日で10日前後干し、カビ防止のため2度目の麻煮を行い再び干す。

・加工
8月下旬、麻煮して乾燥させた麻を一日で麻挽きが出来る分量だけネド入れを行う。
これは、麻を発酵させ皮が剥げるようにする作業で、麻舟(おぶね)に水を入れ、朝夕2回水を浸してから横に寝かせて、こも等を掛けて熱が逃げないようにして発酵を促す。

岩島麻保存会 麻挽き

麻引き作業 機械を使わず保存会会員の丁寧な手作業による精麻 ※無断転用禁止(東吾妻郡教育委員会)

・乾燥
麻はぎしたものを麻挽き台に乗せ、麻(お)かきと呼ばれる道具で表皮(不純物)を取り除く作業を麻挽きという。麻を引いて黄金色に仕上がったものを4枚ずつ8枚合わせて一結び(これを、ひとかけと呼ぶ)にして、竹竿にかけて2〜3日陰干しにして「精麻」となる。

岩島麻保存会 製麻

陰干ししている麻は鮮やかな黄金色を呈する ※無断転用禁止(東吾妻郡教育委員会)

岩島麻の行方

岩島製麻は江戸時代「上州北麻」と呼ばれ、その製品名である「吾妻錦」「黄金の一」など最上級麻の代名詞となっていました。
岩島製麻は戦前においては織物用として新潟・富山・奈良方面に、漁網用に三重・千葉・静岡・宮城・島根県などに売り出されました。最高級の麻は高級服地(上布・晒・縮など)・一本釣り用糸・弓弦用に用いられました。
現在は、「技術保存のための畑」で栽培しているため生産量が少なく、宮内庁・神社庁・日本民族工芸技術保存協会などに納められていますが、少量ながら「月ヶ瀬奈良晒保存会」「愛荘町(近江上布)」に出荷しています。
岩島製麻は一般に出回ることはありませんが、その希少価値から、その「麻」を望む繊維業界・宗教関係者からの問い合わせが後をたちません。

(文・写真提供 東吾妻郡教育委員会)

お問い合わせ 東吾妻郡教育委員会 社会教育課


2014/1/16 更新

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